17
「明日の朝9時。下で待ってる」
それだけ言い捨てて、彼は踵を返した。自分の執務スペースへ戻り、薄汚れたような黄ばんだ照明の海に溶けていく。残されたのは、孤高で、容赦なく決別を告げる背中だけ。
私はほとんど逃げるように、息苦しいあのビルを出た。
襟元から冷たい風が入り込んだ瞬間、自分の背中に冷や汗がべっとり張りついているのに気づく。
車に滑り込み、ルームミラーに映った顔を見た。血の気が引いて白い。心臓だけが制御を失って、どくどくと暴れている。
六条修介という男は、巨大な渦だ。
じわじわと包囲を狭め、私の理性も警戒も、少しずつ飲み込んでいく。
自分のいちばん血腥くて、いちばん矛盾し...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
6. 6
7. 7
8. 8
9. 9
10. 10
11. 11
12. 12
13. 13
14. 14
15. 15
16. 16
17. 17
18. 18
19. 19
20. 20
21. 21
22. 22
23. 23
24. 24
25. 25
26. 26
27. 27
28. 28
29. 29
30. 30
31. 31
32. 32
33. 33
34. 34
35. 35
36. 36
37. 37
38. 38
39. 39
40. 40
41. 41
42. 42
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
