22

身なりのいい責任者が、愛想よくこちらへ歩み寄ってきた。私たちが美術品への投資目当てだと知った瞬間、目の奥に浮かんだ侮りはほとんど隠しきれていない。それでも職業意識なのだろう、口元には丁寧な笑みを貼りつけたままだった。

私はわざと世間知らずの成金みたいに振る舞い、壁に掛かった意味不明な現代絵画をあれこれ指さしては、浅薄で素人丸出しの感想を並べ立てる。

ギャラリーの中枢にある帳簿へ触れるには、本当の責任者に会わなければならない。

そして責任者に会ういちばん手っ取り早い方法は、向こうにとっての上客になることだ。

展示室をぐるりと見回した末、私は一枚の抽象画に目を留めた。大きさはそれほどでも...

ログインして続きを読む