第45章

彼はスマホを取り上げ、どこかへ番号を打ち込んだ。感情の温度が一切ない声。

「続けろ。明日の朝、経済ニュースで『落合グループ』なんて文字を、まだ見たくない」

心臓がどくん、と跳ねた。

「修介……」思わず口にして、喉がひりつく。

彼は私のために怒ってくれている。なのに落合宗岡の言葉が、呪いみたいに耳から離れなかった。

魚が死んだとて、網まで破れるとは限らない。……だが、血は確実に飛び散る。

六条修介は通話を切り、私を見た。瞳の奥の氷が、ほんの少しだけ溶ける。

腕が伸びて、私を抱き寄せた。大きな掌が、背中を一定のリズムで撫でる。

「怖がるな」低く囁く。「俺がいる」

……怖いに決ま...

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