第49章

黒塗りのビジネスバンが埠頭の突き当たりへ吸い込まれるように消えるまで、アンは一歩も動かなかった。車影が途切れた瞬間、ようやく前へ出て、声を落として報告する。

「六条さん。この埠頭のライン、これまではオーチが担当していました」

オーチ――その名に覚えがある。六条修介が以前口にした、六条家の保守派にいる古参の男。

「数時間前、こちらの人間が確認しました。オーチ側の手下が、このロットの検品をやけに雑に済ませて……ほとんど素通しでした」

アンは早口でも言葉が崩れない。要点だけを鋭く並べる。

「不審に思って開梱して再検査を要求したところ、連中が強硬に阻んできた。それで衝突になりました。さっき...

ログインして続きを読む