第54章

差し出された手が、そのまま宙で固まった。

空気が、この瞬間、凍りつく。

六条修介の口元の笑みが、すうっと消えていく。私を見据える目――何もかも見透かすその瞳に、かすかな疑念が走り、すぐに深い探りへと変わった。

「莉緒」

彼はゆっくり手を下ろし、声の温度を落とす。

「……何を避けた?」

私はその場に縫い止められたみたいに動けない。たった一言で心臓がきゅっと縮む。

深い眼差しは、底の見えない冷たい淵。そこに映っているのは、青ざめて取り乱した私の顔だった。

あれは心配じゃない。獲物に照準を合わせた狩人の目だ。冷静で、鋭くて、容赦のない観察。

――解析されている。

反射的に退いた...

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