第5章
山田美月は鈴木尚之に連れられ、豪奢なホテルの宴会場に足を踏み入れた。彼女がこうしたハイソな社交の場に姿を現すのは、これが初めてだった。
レンタルしたイブニングドレスに身を包んだ彼女は、場違いな感じがしてならず、まるで無理やり招待された部外者のように感じていた。
「緊張するな。ただの野次馬気分でいればいい」
鈴木尚之は低い声で言った。ビシッと決めたスーツ姿の彼は、周囲のビジネスエリートたちに完璧に溶け込んでいる。
二人の関係は冷え切っていたが、今日のこの場のため、彼らはひとまず表面上の和を保っていた。
美月は頷きつつも、その目は無意識のうちに、あの伝説的な染宮家の跡継ぎの姿...
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3. 第3章
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