番外

新しい秘書がやってきた。

その顔には、俺が今まで一度も見たことのない安堵の色が浮かんでおり、手には白いファイル袋が握られていた。

「藤井社長、検査の結果、お子様と社長との間に関係はないとのことです」

俺は呆然とした。

彼は、どこか慎重に探るような眼差しで、おそるおそる報告書をこちらへ差し出した。

窓の外には、霧深い長崎の初冬の空が広がっている。湿っぽく冷たい空気が、窓の隙間から染み込んできて、俺の全身を包み込むかのようだった。

つまり、彼女は俺のもとを去った後、本当にすぐ、他の男の子供を身籠もったということか。

報告書を受け取り、最初のページをめくる。

医学用...

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