第5章

莉佳視点

10月15日、午後11時47分。

私は書き上げた出願書類を目の前に広げ、ダイニングテーブルに向かっていた。すべてのページが青いボールペンで埋められ、志望理由書はワープロで清書し、三度も推敲を重ねたものだ。

大学入学共通テスト願書。桜華大学。総合型選抜。

父の死、あのレストランのこと、そして日本語教室について綴った志望理由書。すべて私自身の言葉であり、すべてが真実だ。私に日本語を教わった生徒たちとその家族から届いた、23通もの感謝の手紙。成績証明書、模試の結果。すべてが時系列順にきちんとファイリングされている。

どれも、絵里には絶対に捏造できないものばかりだ。

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