第6章
佑梨の視点
前に進まなきゃ。
俊介からのメッセージの後で、私は自分にそう言い聞かせている。「これで最後だ」という彼の言葉の後で。起きてしまったすべてのことの後で。
友人が誰か知っている人がいると言うので、会ってみることにした。
最初の人は投資銀行家。いい大学を出て、給料も良くて、いわゆるハイスペックってやつだ。白いテーブルクロスが敷かれ、フォークがやたらと多いレストランで、彼が話し始めた。
「アート関係のお仕事ですか? 面白いですね。僕も収集しているんですよ、主に投資としてですが。先月手に入れたこの作品は――」
彼の話は、少しも頭に入ってこなかった。
意識は十歳の頃...
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