第5章

アドリアン視点

 アドリアンは断崖の縁に這いつくばり、半身を宙へ乗り出していた。部下が彼の腰を死に物狂いで抱きしめているが、アドリアンはすでに銃を抜き、その男の頭に銃口を押し当てていた。

「離せ! あいつを助けに行くんだ! アイリスは泳げないんだぞ、寒がりなんだ!」

「ボス! 下は暗礁群です。飛び込めば確実に死にます!」

「死んでない! あいつが死ぬはずないだろうが!」アドリアンの声は枯れ果てていた。「人を呼んで海を探らせろ! 生きているなら連れてこい、死んでいるなら死体を引き揚げろ! 見つからなかったら、お前ら全員あいつの道連れにしてやる!」

 丸三日三晩。潜水士を総動員し、あの...

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