第8章

アイリス視点

 本能的に身を捩るが、アドリアンの腕はびくともしない。

「ボス!」

 三、四人の男たちが部屋へ雪崩れ込んでくる。アドリアンの意識が逸れた隙を突き、私は力一杯その胸を突き飛ばし、背を向けて駆け出した。

 背後から腕を掴まれる。反射的に腕を取り返し、一本背負いで投げ飛ばすと、男が床に叩きつけられて悲鳴を上げた。だが、さらに多くの手が群がり、もう片方の腕も捻り上げられる。その直後、首筋に氷のように冷たい何かが突き刺さった。

 ――くそっ。

 視界が急激に滲み、四肢からずるずると力が抜け落ちていく。最後に映ったのは、腹を押さえながら部下に怒鳴り散らすアドリアンの姿だった。

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