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第三十八章 ―― 従兄弟

ディーゼル視点

目を開けると、部屋が回っていた。頭を上げておくのもやっとだ。体内にデュークの気配を感じるが、彼も弱っている。あいつ、一体何を俺に打ち込みやがったんだ?

俺は自分がどこにいるのか確かめようと辺りを見回した。コート用のクローゼットじゃないことは確かだ。岩壁に囲まれた地下牢か、洞窟のようだ。唯一の光源は、壁にある一本の松明だけ。手首には重い銀の手枷が嵌められ、焼けつくような痛みがある。誰かが動く気配がしたかと思うと、脇腹を蹴り上げられた。

「やっとお目覚めか」しわがれた声が聞こえた。聞き覚えのある声、そしてこの匂い。刈りたての芝とオークの香りだ。

視...

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