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第四十二章 ―― 喪失

リアの口から、大地を揺るがすような唸り声が迸り、その牙が剥き出しになった。戦場の狼たちが戦いの手を止め、神ごとき咆哮の主を探して一斉に首を巡らせる。中には、目の前に立つ神話的な狼への畏怖のあまり、身動き一つ取れずその場に立ち尽くす者さえいた。

私に近づくにつれ、ラモスの自信が揺らいでいくのが見て取れた。リアが発する力は、いかなるアルファをも凌駕していた。ペイトンはこの隙を見逃さず、ラモスに飛びかかり、その首の後ろに牙を突き立てた。ラモスは苦痛に唸り、黒い狼であるペイトンを振り払った。ペイトンは即座に起き上がり、再び突撃しようとしたが、そこでマックスが激しい唸り声を上...

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