第4章

「ああ――くそっ!」

 男が悲鳴を上げ、本能的に手を離してよろめきながら後ずさる。

 血がズボンの裾を伝って流れ、街灯の下でいやに赤く浮いた。

 顔に傷のある男と、もう一人のチンピラが、その場で固まる。

 私は踵を返して走った。灯りのいちばん明るいほうへ、全力で駆ける。喉が裂けるほど叫びながら。

「助けて!」

 前世。地下室で和人に指を踏み砕かれた記憶が、悪夢みたいに脳裏へ噛みつく。骨まで染みる痛み。どうにもならない絶望。あの無力さが、夜中に何度も私を叩き起こした。

 生まれ変わったその瞬間から、私は折りたたみナイフをポケットに入れ続けている。

 今度こそ。誰にも、二度と傷つ...

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