第6章

 パリの秋は、思っていたより早くやって来た。

 大学の研究室の大きな窓の前に立ち、夕陽の赤い光を眺める。半年前、ここに来たばかりの頃は、深夜になると屋敷のオーク材の扉を夢に見た。廊下の突き当たりに立つ弘武の背中まで。

 でも今は――それらの映像も、色褪せた古い写真みたいに輪郭がぼやけている。

 この半年、私は忙しく充実していた。朝7時に研究室へ行き、夜10時に帰る。指導教官は厳格なフランス人の老婦人で、学生への要求は容赦がない。けれど私は、背中を押されるように前へ進まされる感覚が、嫌いじゃなかった。

 国際共同研究チームにも参加した。メンバーは5か国から集まっていて、その中でもドイツ...

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