第2章

 その瞬間、ジュリアンの瞳に宿っていた殺気立った怒りの炎が完全に消え失せ、代わりに微かな焦燥の色が浮かんだ。

 彼は手を伸ばし、指先のゴツゴツとしたタコで私の目尻の涙を優しく拭い去る。その深い瞳は、かつて私を理性を失うほど夢中にさせた、あの抗いがたい愛情に再び満ちていた。

「馬鹿な子だ。君は俺の命そのものだ。どうして君に嘘などつけるんだ?」

 もし五分前、彼が私の母を地獄へ堕ちろと呪い、私を排除しようと密謀しているのをこの耳で聞いていなければ、私はまたしても、その深淵のような瞳に溺れていたかもしれない。

 ジュリアンの手が滑り落ち、震える私の背中を撫でた時、ひどく胸の悪くなる古い煙草の匂いと、アレクサンドラの高級な香水の香りが混ざり合って再び鼻を突いた。

「ごめんよ、リジー」

 彼は低く、磁力のある声で囁いた。

「さっきは少し取り乱してしまった。モナコグランプリのことで、ひどく神経を尖らせていたんだ」

 彼は顔を伏せ、その唇が私のこめかみをそっと掠める。

「そうそう、来週の『スターライト・チャリティーガラ』の手配は済ませておいたよ。そろそろ、俺たちの両親を正式に会わせるべきだと思ってね」

 私は伏し目がちに、瞳の奥に広がる冷気を隠した。

 それが何を意味するのか、私には痛いほど分かっていた。それは両家の顔合わせなどではない。彼が何年もかけて築き上げた、断頭台なのだ。

 彼はあの星々が輝く華やかな舞台を利用し、何千ものフラッシュが狂乱する中で、私という最も鋭利な刃を握りしめ、私の母の心臓に真っ直ぐ突き立てるつもりなのだ。

 彼は世間の目を使い、千の刃で切り刻むかのように、ホイットモア家代々受け継がれてきた名誉を、そして私のあの哀れでちっぽけな恋心を、跡形もなく破壊しようと企んでいるのだ。

 なんて滑稽なのだろう。

 なんて皮肉なのだろう。

 ジュリアンの両腕は、私を骨の髄まで砕きそうなほど強く抱きしめている。

 だが、その熱を帯びた胸に抱かれながら、私は骨の髄まで凍りつくような寒さしか感じていなかった。

 一粒の涙が、音もなく目尻から滑り落ちた。

 過去五年のすべての日々、すべての親密な時間、すべての囁き……彼は最初からずっと、私に嘘をつき続けていたのだ。

 その日の深夜、私はスマートフォンを取り出した。指先は画面の上で長い間宙を彷徨い、最後に連絡先リストの一番下へと滑っていく。

 クリストファー・ヘイズ。

 私の幼馴染。彼はかつて私にこう警告した。

「リジー、ジュリアンの目には炎が宿っている。奴は君を生きたまま焼き尽くすぞ」

 ジュリアンを庇うため、私はクリストファーを公然と非難した。彼の懸念を「傲慢な貴族の偏見」だと罵り、彼との縁を一切断ってしまったのだ。

 深く息を吸い込み、震える指で一行の文字を打ち込む。

「両家の縁談の件について。受けるわ。クリストファー、至急結婚の準備を進めて」

 翌日は私の誕生日だった。

 ジュリアンはかつて、あんなにも固く誓ってくれた。

「リジー、世界のどこでレースをしていようと、君の誕生日には必ず飛んで帰ってくる。俺の大切な人が生まれた日だからね」

 私は一縷の望みを抱き、家で深夜まで待ち続けた。テーブルの上のディナーは、とうの昔にすっかり冷え切っている。

 彼が来ないことは分かっていても、その最後の微かで哀れな希望にすがりつき、私は馬鹿みたいに一晩中そこに座っていた。

 自傷行為にも似た衝動に駆られ、私はスマートフォンを手に取ると、まるで何かに憑かれたかのようにインスタグラムを開いた。

 アレクサンドラの最新の投稿は、十分前にアップロードされたものだった。

 写真は最高級のフレンチレストランで、足元まである窓の外には眩い夜景が広がっている。

 画面の大部分を占めているのは、九千九百九十九本の赤い薔薇だ。

 その強烈な真紅が画面から溢れ出しそうで、痛いほど目に刺さる。

 薔薇の向こう側には、一人の男が座っていた。

 横顔しか見えなかったが、たとえジュリアンが灰になっても、私には彼だと分かった。

 その瞬間、見えざる手が私の心臓を鷲掴みにし、血が滲むほど強く握り潰されたような感覚に陥った。

 過去五年間の記憶が走馬灯のように蘇る。バレンタインデーも、記念日も、ジュリアンが私に贈るのはいつもマーガレットだった。安価でありふれた、マーガレット。

 あの頃、彼は私を抱きしめてこう言った。

「リジー、君はマーガレットみたいだ。無垢で純潔で、ただそこにあるだけで美しい。君の輝きを引き立てるのに、俗っぽい薔薇なんて必要ない」

 私は感動のあまり泣きそうになり、それが私の純粋な魂への賛辞なのだと信じ込んでいた。

 だが実際には、彼の目に映る私は、道端の雑草に過ぎなかったのだ。「単純」で、「平凡」で、簡単に騙せる愚か者。

 巨大な悲しみの後、肉体的な痛みが襲いかかってきた。

 突如として、下腹部に激しい痙攣のような痛みが走り、無数の刃で体内を掻き回されているかのようだった。

 私はソファにうずくまり、冷や汗が一瞬にしてパジャマを濡らした。

 体の中で何かが落ちていくような、何かが剥がれ落ちていくような感覚に、恐怖を覚える。お腹を強く抱え込み、爪が肉に食い込むほどきつく握りしめた。

 私の赤ちゃん……。

 これが母と子の絆というものなのだろうか。父親の残酷さを、この愛の虚偽を感じ取って、だからこそ抗い、もがき、苦しんでいるのだ。

 私は空っぽの広間の中で体を丸めた。涙はとうに枯れ果て、ただ乾いた嗚咽だけが響く。

 そうして、私は一晩中そこで激痛に耐え、意識が朦朧としていた。

 明け方の最初の光がカーテンの隙間から差し込んだ時、ドアの鍵がカチャリと開く音がした。

 ジュリアンが入ってくる。

 テーブルの上の手つかずの料理と、ソファで丸くなる私を見て、彼は足を止めた。

「ごめんよ、リジー。昨日、チームの突発的な非公開ミーティングがあって、携帯を没収されていたんだ。忙しすぎて、君の誕生日だってことすら忘れてしまっていた」

 彼はよく訓練されたあの無邪気な瞳で私を見つめる。

「ずっと待っていたわけじゃないだろう? 次は必ず埋め合わせするから、許してくれる?」

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