第6章

 中庭でのあの夜以来、私はどこへ行くにも遠回りするようになった。

 あからさまじゃない。彼を見たからといって走って逃げたり、急に用事を思い出したふりをしたりもしない。ただ、彼がいるときには私は別の場所にいて、彼のほうも前より姿を見せなくなった。

 ソレンは気づいていた。廊下で行き交うたびに、必要以上にほんの半拍だけ私を目で追って、それから視線を外す。質問もしない。迫りもしない。ただ距離を距離として受け取って、そのままにしておく。

 それが、何か言われるよりずっときつかった。

 五日そんな調子が続いたところで、私はミーレンに電話した。面倒くさくない声が必要だった。

 彼女は二回目の呼...

ログインして続きを読む