第10章

林田知音は、ふっと唇の端を上げた。

「ありがとう、二羽ちゃん。私がいちばんあなたを必要としてる時、いつもそばに来てくれる」

「なによ、それ。あたしたちの仲でしょ? あたしが男だったら、目黒雲月の出る幕なんてなかったかもね」

千野二羽は昔からおどけるのがうまい。林田知音は彼女の脇腹をつんと突いた。

「ほんと、口ばっかり。あなたが男だったら、どれだけ女癖が悪くなるかわかったもんじゃないわ」

じゃれ合うように笑い合う。千野二羽が肩に手を回した拍子に、バスタオルが少しずれ落ちた。林田知音の首筋に残る、赤黒い痕。それを見つけた千野二羽は、ぱちぱちと大きな目を瞬かせた。

「どうしたの?」

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