第163章

「もし違ったら?」

「それでも警察に引き渡したほうがいいよ。どうせ警察が事情を調べてくれるし、その結果で判断すればいい」

林田知音は肩をすくめて言った。

日野成謙は手を伸ばし、彼女の髪をくしゃりと撫でる。

「てっきり、警備員にその男の子を放してやれって言うと思った」

「私のこと、そんなにお人よしだと思ってるの? め――」

反射的に飛び出した言葉は途中で途切れ、林田知音は慌てて舌を噛み、そのまま飲み込んだ。

「……何?」

日野成謙の目が細くなる。

林田知音は首を振った。

「何でもない。私も、自分なら警備員に放してあげてって言うのかなって思ってた……だって私も母親だし。よその...

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