第175章

ドアが開く。

全身鏡の前に立つ林田知音は、彼が彼女のために誂えたウェディングドレスに身を包んでいた。大きく巻いた長い髪が背中に流れ、ヴェールには小さな花が散りばめられている……。

知音は眉を上げ、鏡越しに日野成謙が入ってくるのを見た。思わず口元がゆるむ。まさに花がほころぶような笑みで、照れた表情がたまらなく愛らしい。

「ちょっと、私っぽくない?」

成謙は両手をズボンのポケットに突っ込んだまま近づき、彼女の背後まで来てから手を抜いた。そっと腰に腕を回し、顎を彼女の肩にすり寄せる。

仕草の端々まで甘く親密で、スタイリストとメイク係は空気を読んで、さっと部屋を出ていった。

「それが君だ...

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