第20章

彼女は媚びるように甘い声を出していた。けれど、そのとき目黒雲月の脳裏にあるのは林田知音の姿だけだった。

ピアノの前に座る林田知音。

男たちの視線を一身に浴びる林田知音。

白く露わになった首筋と、鍵盤の上で踊るように動くあの指先――ただ、それだけ。

「雲月さん――あ……んっ!」

野呂雨芽は不意に体勢を逆転され、そのままベッドへ押し倒された。次の瞬間、唇を目黒雲月に塞がれる。

狂ったように唇を吸われ、舌を絡め取られる。大きな手が全身を這い、あっという間に衣服は引き裂かれ、無残な布切れへと変わった。

雨芽の驚きは、すぐに歓喜へ変わる。

体の痛みも構わず、彼女は両腕を雲月の首に回し、...

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