第23章

林田知音はくん、と鼻をすすった。ここでまた断ったら、さすがに筋が通らない。この世界にチャンスなんて、そう何度も転がっていない。掴みたくても、一度だって掴めない人のほうが多いのだ。

「先輩、住所を教えてください。本当なら私のほうから伺うべきですし。でもこの二日ほど、少し片づけないといけない用があって……先にお電話します」

「いいよ。待ってる。あんまり待たせないで」

木下実初との通話を切った瞬間も、林田知音の胸はどくどくと落ち着かない。だが、朗報の直後に不穏はやってくる。

大島さんからの電話だった。やらかしてしまった、と。野呂雨芽の手を火傷させてしまい、野呂雨芽が警察署に連れて行くと言っ...

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