第39章

「大島さん、らいちゃんがノロウイルスに感染しちゃって。ごはん、作り直してあげて。それと、食器は全部もう一回消毒して」

「はい、かしこまりました」

大島さんが慌てて答える。

林田知音は立ち上がり、食卓へ向かった。目黒らいは子ども用の椅子にちょこんと座っている。顔色は冴えないのに、それでも「いっしょに座る」と譲らない。

家族三人で同じテーブルを囲む――そんな光景が、あの五年間の知音にとってどれほど贅沢だったか。

妊娠がわかったとき、目黒雲月は何も言わずに「結婚する」と周囲に告げた。知音は毎日、雲月の帰りを胸いっぱいの期待で待った。雲月は潔癖で、他人に自分の物を勝手に触られるのを嫌う。だ...

ログインして続きを読む