第45章

林田知音は少し疲れていた。今日は真新しいハイヒールを履いてきたのだが、足に合わない。三十分以上立ちっぱなしで、もうじんじんと痛む。彼女は目黒雲月に小声で告げた。

「お手洗いに行ってきたい」

目黒雲月は彼女を一瞥し、次の瞬間――不意打ちのように眉間へ軽く口づけた。

「行ってこい」

林田知音は拳をきゅっと握り、スカートの裾をつまんで化粧室へ向かった。

個室に入った、その直後。

自分の背後に、同じように入り込んでくる気配があった。振り返って叫びかけた瞬間、口元を大きな手で塞がれる。

林田知音は目を見開き――そこでようやく、尾けてきた相手が誰なのかを悟った。

「日野成謙?」

日野成...

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