第47章

どうしてだ? どうしてあいつに、こんなにも欲が向く?

日野成謙の視線が、ピアノ椅子に腰掛ける林田知音から、少し離れたところに立つ目黒雲月へと移った。目を細める。雄の本能ってやつか? 他人の獲物を奪うほうが、燃える……?

林田知音が弾き終えると、大きく息を吐いた。次の瞬間、ぱっと拍手が湧き起こる。彼女は立ち上がり、軽く一礼した。

顔を上げた拍子に、遠くで日野成謙と目が合いそうになって、胸がひゅっと縮む。知音は思わず視線を逸らし、落ち着かないまま瞬きをした。

目黒雲月が手招きする。侍者が持ってきたぺたんこの靴に履き替え、手には脱いだハイヒールを提げて階段を下りてきた。

「知音、紹介する...

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