第52章

「もう、あなたったら。遊び相手に困るような子じゃないでしょう?」

木下実初はそう言って彼女の髪をくしゃりと撫で、それから優しく促した。

「パパのところへ行ってらっしゃい。外にいるから。おば様は、知音おばさんと二人で少しお話がしたいの」

「パパ、もう来てるの?」

日野絃星はぱっと顔を輝かせ、そのまま勢いよく部屋を飛び出していった。

「日野成謙が外にいるの?」と、林田知音が尋ねる。

「日野成謙?」木下実初は一瞬だけ怪訝そうな顔をしたが、すぐに何でもないふうに言った。「今日は外来の日だから、けっこう忙しいはずよ。もうすぐ昼休みだけど、お昼に来られるかどうかは分からないわ」

「じゃあ…...

ログインして続きを読む