第59章

林田知音は少し離れた席に座り、日野成謙が目黒雲月へ浴びせる挑発の数々を聞きながら、ただただ目を丸くしていた。日野成謙の毒舌ぶりは、もはや容赦がない。医は仁術って、こういう意味じゃなかったはずでしょう……?

この人、完全に腹黒じゃない。

日野成謙はひらりと手を上げ、目黒雲月に合図だけしてから、そのまま先に車を走らせた。

バックミラーの中では、目黒雲月の車がその場に止まったまま、いつまでも動かなかった。

日野成謙はよほど気分がいいのか、ラジオに合わせて鼻歌まで歌っている。林田知音は半ば呆れながら、しばらくしてから口を開いた。

「さっき、野呂雨芽の病気は誤診だって言ってたよね?」

「俺...

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