第13章 彼はなぜ怒っているのか?

羽鳥秋葉は強く抱きすくめられ、痛みに眉をひそめた。

「古川静弘、何してるの?」

古川静弘は羽鳥秋葉を無視し、目の前の男の肩を乱暴に掴む。

「古川静弘だ。――挨拶しとこうか。あんた、何者だ?」

容赦のない力だった。肩を押さえつけられた男は苦痛に身体を折り、途切れ途切れに問い返す。

「……だ、誰だよ、お前」

羽鳥秋葉は異変に気づき、慌てて二人の間へ割って入って引き離した。

「温水さん、本当に申し訳ありません」

古川静弘は拳をきしませる。声は歯の隙間から絞り出すようだった。

「羽鳥秋葉。説明する気はないのか。――この温水さんってのはどこから湧いた。なんでここにいる。なんでおまえの手...

ログインして続きを読む