第152章 古川静弘の埋め合わせ

古川静弘は林田新の言葉に痛いところを突かれ、顔色を鉄のように青くしながらも反論できなかった。須藤篠華の件――それは今の彼にとって、いちばん口にできない負い目だった。

拳をぎゅっと握りしめ、視線を「一出会い花屋」のガラス扉に釘づけにする。扉の向こうでは羽鳥秋葉が俯き、羽鳥一弥に花束の整え方を教えていた。背伸びした小さな手が不器用に薔薇を支え、母子の影はぴたりと寄り添っている。あまりにも温かくて、目に刺さるほどだった。

――彼が欠けていた五年。

触れることさえ贅沢に思える光景。

林田新は彼が言葉を失ったのを見て鼻で笑い、くるりと背を向けて扉を押し開けた。わざと声を柔らかくする。

「秋葉...

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