第16章 流産しかけた

羽鳥秋葉の悲鳴が、古川静弘の理性の端をかろうじて引き戻した。

動きが止まる。荒い息。愕然と見開かれた目。

「……何だって?」

背筋がぞわりと粟立つ。けれど、止まった。腹の中の子は――ひとまず、守られた。

押しのけようとした瞬間、また押さえつけられる。

古川静弘の視線が、刃物みたいに危うく変わった。

脳裏をよぎるのは、血のついた紙片。

「この前、生理きてただろ。妊娠なんかするわけない」

「羽鳥秋葉……俺に触らせないために、そんな嘘までつくのか? そこまで俺が嫌いか」

涙がこぼれそうで、喉の奥がぎゅっと詰まる。

「古川静弘! 本当なの!」

危険だった。全身の筋肉が張りつめ、酒...

ログインして続きを読む