第174章 退学

宇野若奈はスマホを握りしめた。指先がかすかに震えている。それでも足だけは、決して緩められなかった。

エレベーターの数字が一階ずつ跳ね上がるたび、心臓も一緒に上下する。けれど最上階に近づくほど、彼女は必死に自分を奮い立たせた。

古川社長が、こんなに急いで呼び戻すなんて。きっと理由がある。

もしかしたら――。

花屋へ行き、頭を下げて羽鳥秋葉に取り入ったことが耳に入ったのかもしれない。ようやく学んだ、ようやく分別がついた、と認めてもらえて。ついに、また秘書補佐の席へ戻してもらえるのではないか。

須藤篠華は言っていた。羽鳥秋葉の機嫌を取って、古川静弘の心配事を減らせば、今みたいに干されて宙...

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