第21章 レストランでの口論

レストランでは誰かがヴァイオリンを奏でていて、柔らかな音色がさらさらと流れていた。

温水言がにこやかに羽鳥秋葉へワインを注ぐ。

「今年の新酒です。ちょっとクセがある味なんですが、この店の看板なんですよ。飲んでみます?」

羽鳥秋葉はグラスを受け取り、わずかにためらった。

温水さんには大きな借りがあるうえ、こうして直々に注いでもらったのに、口をつけないのは失礼だ。けれど――妊娠中に酒は飲めない。

少し考えた末、飲むふりだけして唇を軽く触れさせ、そっとグラスを置いた。

「たしかに独特ですね。口に入れた瞬間は少し苦いけど、すぐ甘みが戻ってきて……葡萄の香りも濃いです」

温水言は彼女のぎこ...

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