第27章 古川静弘はもう連れて行かれた

羽鳥秋葉は、通話が切れたあとのツー、ツーという無機質な音を耳にしたまま、しばらく黙って座っていた。

行くな。行くな、と自分に言い聞かせる。

あの男が死のうが生きようが、自分に何の関係がある? どうせ須藤篠華が面倒を見る。秘書だっている。自分の出る幕じゃない。

――そう思ったのに。

指が言うことをきかない。気づけばタオルを放り、外に出られる服へと着替えていた。

車のキーを掴むと、アクセルを踏み込む。深夜の道はがらんとしていて、人影もまばらだった。

飛ばしたところで、彼女の住む場所からバーまでは遠い。

着いたときには、入口に「CLOSED」の札が掛かっていた。残っている灯りは、扉の脇...

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