第55章 変故

古川静弘はスマホを握る手に力を込めすぎて、骨ばった関節が白く浮き上がっていた。じわり、と指の節がきしむ音まで聞こえた気がする。

手首をつかまれた羽鳥秋葉にもわかる。彼の掌が、制御できないほど汗ばんでいることが。

――何かあった。

何が起きたのかは知らない。けれど、この顔、この手。この空気だけで、胸の奥がざわついてしまう。

長い沈黙のあと、彼はようやく低く言った。

「……わかった。今、向かう」

通話を切り、秋葉を見る。

「母さんの飛行機で、トラブルがあった」

秋葉の頭の中が、ぶわっと鳴った。心臓が喉元までせり上がる。

「なにがあったの? お義母さん……まさか……」

飛行機の...

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