第59章 彼は早期妊娠検査薬を買った

須藤篠華は「でも」だの「だって」だの、そんな言い訳を聞く気はなかった。彼を乱暴に突き飛ばし、踵を返して窓に手をかける。

ここは最上階。窓を開けた瞬間、冷たい風がどっと吹き込み、髪がぐしゃぐしゃに舞い上がった。

篠華はベッドの縁に腹ばいになり、上半身を外へと突き出す。

古川静弘の頭が、どん、と鳴った。

咄嗟に彼女の腕を掴んで引き戻す。

「何してる!」

「もう私のこといらないんでしょ。だったら、生きてたって意味ないじゃない!」

篠華は振り返った。頬をつたって涙が落ちる。

「いっそ今ここから飛び降りて、あんたたちの邪魔しないようにしてあげる。どうせ……どうせ私の命は、最初からあなた...

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