第7章

 チェーンソーの刃が木材を引き裂く甲高い悲鳴が、耳をつんざくほどに響いた。私はバリケードに体重を押しつけ、筋肉が灼けるように軋むのをこらえる。

 そのとき、鋭く高周波のノイズが、奥歯に暴力的に突き刺さった。

「ウグイスへ命令。信号ロック。特殊急襲部隊、到着まで三十秒。位置を保持せよ」

 その戦術的な応答が、脳の奥深くに何かを呼び起こした。アドレナリンが残っていた化学的な霧を一気に焼き尽くし、人工的に抑え込まれていた記憶が、激流となって押し戻ってくる。

 私は潜入捜査中の警察官だった。

 交通事故で私が麻痺したわけじゃない。短期作用の合成神経毒を自分の脊髄に注入し、麻痺したふりをして...

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