第30章 なぜだ!

林田唯月は、行き着く先のない道路を、ふらふらと――深く踏み込み、浅く踏み込みながら歩いていた。

刺すような寒風が全身を叩き、彼女は両腕で自分を抱きしめる。少しでも体温を守ろうとして。

けれど、ふいに喉の奥から、また鉄のような血の匂いがせり上がった。

ああ、やっぱり……さっきより、もっと悪い。

この身体で、本当に化学療法を受けて、実験に参加する日まで持つのだろうか――そんなことを、考えたくもないのに考えてしまう。

どれほど歩いたのか。

気づけば太陽は高く昇っていて、時計を見なくても分かる。二時間は歩き続けていた。

車が通らなかったわけじゃない。

ただ、パジャマにサンダル、髪は乱...

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