第36章 私たちは離婚する

同じ言葉を、林田唯月はそのまま彼に返した。

矢吹薫の、希望を宿していた瞳が――一瞬で灰色に沈む。

胸の奥がきりきりと裂け、息ができないほど痛んだ。身体の横に垂らした手が小さく震え、視界の端はじわりと赤く滲む。

何度も口を開いて説明しようとした。けれど、林田唯月が向ける嫌悪の視線に触れるたび、言葉は喉の奥へ押し戻された。

もう、ここまで来た。

引き返す道なんてない。

全部――自分の手で壊してしまったのだ。

そのとき、椎名伴凪が駆け寄ってきた。

血の滲む矢吹薫の手を見て、悲鳴みたいに声を上げる。

「薫、手……どうしたの? 大丈夫? 痛いよね? なんでこんな……!」

矢吹薫は答...

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