第45章 解毒剤

林田唯月は、もう彼女と口論する気力すら残っていなかった。

腹部を押さえ、ようやく少し落ち着いた――その直後、骨の髄まで蝕むような欲情が押し寄せる。

台に手をついて無理やり立ち上がり、感情を押し殺したまま怒鳴った。

「……出ていけ!」

林田唯月の服は、とっくに水を含んで肌に張りついていた。

もともと詰まっていたはずのセーターの襟元も、水の重みでずるりと落ち、白い胸元があらわになる。

矢吹薫が背後から手首を掴み、床から引き上げ、そのまま胸に抱き込む。

「林田唯月……大丈夫か?」

椎名伴凪は顔色を失い、慌てて止めに入ろうとした。

「薫、いったん唯月さんをお医者様に……様子が変だよ...

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