第9章 お金さえあればいい

林田唯月は割れた酒瓶を握りしめていた。掌はガラスで切れ、ぽた、ぽたと鮮血が滴り落ちる。

個室の連中が、思わず一歩引いた。顔じゅうが驚愕に染まる。

だが、すぐに我に返った者が吠える。

「林田唯月、やっぱりてめえは狂ってる! でもな、こっちはこんなに人数がいるんだ。勝てると思ってんのか?」

失血のせいで唇は白い。酒瓶を掴む指先が、かすかに震えていた。視界がぐらりと揺れ、今にも膝が折れそうになる。片手でテーブルに縋り、もう片方で酒瓶の切っ先を自分の喉元へ向けた。

すっと、首筋に赤い線が走る。

林田唯月は、まっすぐに彼らを睨んだ。

「そうよ。あんたたち全員は殺せない。でも、私がここで死...

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