第11章 彼は気にしないだろう

「ただの同僚よ。帰り道が同じだったから、ついでに車に乗せてもらっただけ」

玉井彩歌は腹の奥の鈍い下り痛みをこらえながら、そう説明した。

明日には林田永清の会社に入る。日野弦羽も、あそこに所属する機長だ。

――そういう意味では、確かに同僚になる。

それを聞いた玉井司の張り詰めた神経が、目に見えてほどけた。

追い出されたわけじゃない。それならいい。

だが彼は眉間の皺を消さず、咎める調子で言う。

「彩歌。お前はもう浅見家の若奥様だ。朝治が忙しいのは分かるが、だからこそ言動には気をつけろ」

「人前で、よその男の車で帰ってくるなんて……。誰かに撮られて浅見家の耳に入ったらどうする。浅見...

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