第169章 彼女といくぶん似ている

野呂詩羽はどうせ好きな相手もいない。会ってみるくらいなら、別に問題ない――そう思って来ただけだった。

母が言っていたのは、さすがに盛ってるんじゃないかとも思っていた。

「すごくハンサムで、人柄もいい」とか。

けれど実際に目の前で見てみると、野呂詩羽は「まあ、付き合ってみてもいいかも」と素直に思った。

何より、こんなに格好いい男と結婚できたら――それだけで自分の顔も立つ。

浅見朝治は表情一つ変えず、落ち着いた声で言った。

「まだ、合う人に出会ってない」

意外な返答に、野呂詩羽はぱちぱちと瞬きをしてから、悪戯っぽく首を傾げる。

「じゃあ……私は、合う人?」

浅見朝治は彼女をじっ...

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