第170章 塵に埋もれた旧事

周防大河は眉間に深い皺を刻み、口を開きかけた。だが日野弦羽が、ゆったりと手を上げてその言葉を塞ぐ。

「見たよ。君の娘さんが通ってる小学校、評判いいじゃないか。成績もいいみたいだし、将来はいい大学にだって行けるかもしれない。顔立ちも整ってる……」

日野弦羽が一言増やすたび、保坂凱旋の顔色が一段ずつ白くなっていく。

昨日捕まった時点で、ここで終わる覚悟はできていた。

どうせ自分なんて、こんな人生だ。腐った命の一本や二本、惜しくもない。

だが――娘だけは別だった。

娘と元妻を守るために、保坂凱旋は歯を食いしばって離婚した。今は身を隠して逃げ回る日々。家に帰るどころか、娘の顔を一目見るこ...

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