第185章 俺がいる

「彩歌!」

日野弦羽の声が震えた。彼は倒れ込んだまま力尽きている玉井彩歌を、壊れものでも扱うみたいにそっと支え起こす。

玉井彩歌の顔色は、透けるほどに青白い。

必死に笑みを作ってみせる。

「よかった……聞こえたんだね……」

言い終えるより早く、彩歌はふっと意識を手放した。

使用人部屋は、壊せるものがすべて壊されていた。割れた食器、倒れた椅子。鏡も、衣装棚も、根こそぎ引き倒されている。

飛び散った鏡の破片が彩歌の肌を切り裂き、床の血は目を背けたくなるほど鮮やかだった。

日野弦羽は彩歌を横抱きにし、迷いなく大股で扉へ向かう。

「日野機長——」

玉井愛絵が蒼白になって、反射的に...

ログインして続きを読む