第188章 実の娘を連れていけ

玉井愛絵はよろめくように二歩下がり、スカートの裾を握りしめた。悔しさに下唇を噛み、「お姉ちゃん、わたし……」と声を絞り出しかけた、その時――

「黙れ」

玉井彩歌が片手を上げ、言葉ごと遮った。

視線が一斉に二人へ集まる。

彩歌の表情は淡い。けれどよく見れば、眉間の奥に押し殺した怒りが沈んでいた。気づいたのは日野弦羽だけだ。

愛絵は涙をぽろりと落とし、恨みがましく弦羽を一瞥してから、しおらしく続ける。

「お姉ちゃん、まだ許してくれないの? パパにも叱られたし、今日は謝りに来たの。前は私が悪かった……焦ってたの」

彩歌は、鼻で笑いそうになるのを堪えた。

玉井家に甘やかされて育った子...

ログインして続きを読む