第206章 どうして俺はダメなんだ

「ダメだ!」

浅見朝治は迷いなく言い切った。

玉井彩歌の腕の中で眠る安を、彼は食い入るように見つめる。

「それも俺の子だ。どうしてそんなに自分勝手なんだ」

その言葉を聞いた瞬間、彩歌の瞳の奥で、あからさまな嘲りが渦を巻いた。

そう。安は彼女の子でもある。

――けれど浅見家は何をした?

子どもを産ませたら、母親としての関わりを断てと命じたのは浅見家だ。外で「私は安の母です」と名乗ることすら許さなかった。

それなのに今さら、浅見朝治が「自分勝手」だと?

彩歌の視線があまりに冷たく、あまりに皮肉だったのか。あるいは、浅見家がやってきたことを彼自身も思い出したのか。

朝治の顔から...

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