第27章 危機感

その頃、クラブ最上階のVIPルームでは――

浅見朝治は眉間に深い皺を寄せたまま、ソファにもたれていた。個室にこもる空気が、妙に重たい。淀んでいる。胸のあたりまでじわりと塞がれるようで、不快だった。

こめかみを指で押さえ、ずきずきと脈打つ痛みをやり過ごしてから、彼は立ち上がる。足を向けたのは、床から天井まである大きな窓の前だった。

半ば開いた窓の隙間から、夜風がさあっと流れ込んでくる。

冷えた風を受けて、熱のこもった頭が少しだけ冴えた。

浅見朝治は何気なく目を伏せ、ガラス越しに眼下の通りを見下ろした。深夜に近いその時間、さっきまでの喧騒が嘘のように、街路はどこかひっそりとしている。

...

ログインして続きを読む