第40章 言ってもどうする?

朝の早い時間、玉井彩歌はけたたましい着信音に叩き起こされた。

ぼんやりと目を開け、枕元のスマホに手を伸ばす。通話ボタンを押した瞬間、耳に飛び込んできたのは浅見お婆さんの声だった。

「彩歌、最近どう? 体、少しは楽になった? ずいぶん顔を見てないじゃない。今日は週末だし、本家に戻ってきて、一緒にご飯食べない?」

反射的に断ろうとして、彩歌は言葉を飲み込む。

「うん、お婆さん。お昼に行くね」

昼前、彩歌はタクシーで浅見家の屋敷へ向かった。半ば山腹に構えた、手入れの行き届いた広い敷地。門をくぐって主屋へ入り、豪奢なホールに足を踏み入れた瞬間――彼女の歩みが、ほんの少し止まった。

ソファ...

ログインして続きを読む