第41章 空こそが、君の翼を広げる場所だ

玉井彩歌はゆったりしたマタニティウェアに着替え、いつもどおり出社する支度を整えた。

玄関まで来たところで、家政婦の立田さんが慌てた様子で、上品な保温ランチボックスを差し出してくる。

「奥様、切りたてのフルーツでございます。お昼、会社で召し上がってくださいませ」

彩歌は受け取った。掌に伝わるほのかな温もりに、胸の奥までじんわりと温かくなる。

「ありがとう」

立田さんは言いよどみ、二階の、固く閉じられた書斎の扉をちらりと見た。声を落として続ける。

「旦那様が昨夜、わざわざ空輸のさくらんぼを手配するよう仰いまして……最近、奥様は食欲が落ちているから、好物を多めに、と」

彩歌の手が、ぴ...

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