第48章 無事に出産する

浅見朝治は、ほんの一瞬だけ意識が遠のいだ。喉の奥にひっかかるものを飲み込み、躊躇いがちに問う。

「……彼女、大丈夫なんですか?」

「こちらも全力で対応しています。ただ、産婦さんの出血量が多すぎます。このままではいつ急変してもおかしくありません。すぐに署名してください、処置が遅れます!」

看護師は答えると同時に、畳みかけるように促した。

浅見朝治が震える手でサインを走らせる。看護師は用紙をひったくるように受け取り、踵を返して手術室へ駆け込んだ。

扉が再び閉まる。

赤いランプが、また点いた。

時間だけが、じわじわと削れていく。

窓の外がすっかり暗闇に沈んだ頃――ようやく、手術室の...

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